KDP無料キャンペーン情報 松野栄司さん『咎人戦騎10: 第十話:【虚月】』 《2016年09月21日より》

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やっほー☆ 松野栄司さん(@todomaru21)から無料キャンペーンのお知らせが届いてるわよ。

一話読み切りの連作短編です。
暇潰しのお供に是非!

価格99 円 → 0 円
期間2016年09月21日〜2016年09月25日

ここに書かれた期間はあくまでも目安だと思って。ストアの都合で予定よりも前後することがあるから注意してね。

それじゃこの本がどんな内容なのか見てみましょうか。

古来より人の心の闇に付け込み、人を喰らう魔物が存在した。
魔物の名は魔徒。そして、魔徒を狩る騎士も又、存在した。
生きた鎧、戦騎を駆り、人々を護る騎士。
主人公・羅刹は生前に罪を犯し、咎人で在りながら騎士として魔徒を討つ定めを課せられていた。
だが、羅刹は魔徒を斬る事だけに捉われていて、人を護ろうとはしなかった。
まるで、抜き身の刀で在る。
在る時、一人の少女に出逢い、羅刹に僅かな変化が顕れる。

第十話【虚月】
気高き蒼を纏った者が居る。
彼の者は、何を想い其の地に足を踏み入れたのか……。

以下、本文抜粋。

東山昭久が初めて人を殺めたのは、十歳の時だった。
 幼い昭久には、二つ下の妹が居た。可愛らしい容姿の女の子で在った。
 ――在る日の事だ。
 其の日、家には両親が不在で在った。幼い兄弟は、仲良く家で留守番をしていた。幼い昭久に取って、妹の存在は大切で在った。愛しくて、可愛らしい妹が、大好きだと感じていた。だから其の日も昭久は、妹の面倒を診ていた。
 昼食を終えた二人は、隠れん坊をした。鬼と成った昭久は、妹に見付かるまいと押し入れの蒲団の中に躯を隠していた。中々、妹は自分を見付けてはくれなかった。
 何時の間にか、昭久は眠りに堕ちていた。
 幾許かして、妹の泣き叫ぶ声で目が覚めた。異様な空気を悟った昭久は、押し入れの隙間から外を覗き視た。
 其処には、見知らぬ男が居た。男は妹の腹を割き、腸を引き摺り出している。其の悍ましく異様な光景は、幼い昭久の心を異様に昂らせた。
 恐怖は無かった。
 妹が殺され掛けていると言うのに、怒りや哀しみと言った感情は一切も浮かばなかった。
 此の時、昭久は確かに妹と目が合っていた。
 ――お兄ちゃん……助けて。
 力無く動く妹の唇は、言の葉を放つ事は無かった。だが昭久は、妹の言葉が理解(わか)っていたのだ。
 助けを懇願する妹。
 其の瞬間、果てしない快楽が全身を突き抜けた。……と、同時に。心の奥底から、途轍も無く激しい欲求が沸き上がっていた。
 ――此れは、驚いたな。
 気が付くと、昭久は姿を現していた。
 言葉とは裏腹に、見知らぬ男は穏やかな表情で昭久にナイフを手渡して来た。
 ――君には、素質が在る。
 優しい男の口調。
 恐怖と困惑が入り乱れた妹の表情(かお)。
 昭久の心の奥底から、姿を顕す本性(かお)。
 見知らぬ男の愉悦に浸った嘲笑(かお)。
 心地良く甘美な欲求に抗えずに、昭久は妹の喉を掻き切った。
 吹き出る妹の血を浴びて、昭久は生まれて初めての射精をした。
 ――ゴメンよぉ……理沙ぁッ!
 何故だか、涙が溢れ出ていた。
 ……びくんッ、びくんッ。と、痙攣する妹を視て、昭久は得も言われぬ快楽に包まれていた。
 只、涙だけが溢れ出ていた。
 思えば此の出来事が無ければ、殺人鬼としての性は芽生えてはいないだろう。
 為らばあの見知らぬ男には、感謝しなければ成らない。
 彼のお陰で自分は殺人鬼と成って――人を超越した存在に成れたのだ。
「邪悪なる魔獣・タタラ……。兄さん、此奴を倒せば、天丞院付けの戦騎騎士に成れるかな?」
「勿論だ。だが、気を付けろよ。此奴は、とんでもない化物だ……」
 双子の戦騎騎士が、此方を窺っていた。
 どちらも、恐怖に身体を強張らせている。己と相対する者は皆、一様に恐怖に染め上げなければ成らない。
 殺すと言う行為には、美学が必要だ。
 幼い頃に出逢った見知らぬ男は、間違いなく己に美学を懐いていた。
 昭久が妹を殺害した事に満足したのか、見知らぬ男は自ら警察に通報した。後に調べたのだが、男は警察の取り調べで昭久の事を一切、洩らさなかった様だ。其の後、裁判で死刑判決を受けた時に、見知らぬ男はこう述べたらしい。
 ――満足だ。
 昭久には、其の言葉が自分に向けられた物に思えて成らなかった。
 間違い無く見知らぬ男と自分は、同種の人間で在った。
 まるで見知らぬ男に、何かを託された様で在った。
 其れ故か昭久は、人を殺める時は必ずナイフを用いていた。
「君達、美学は在るかね?」
 ゆっくりと二人の騎士に歩み寄りながら、悠然と語り掛ける。
「黙れッ……化物が!」
「遣るぞッ……兄さん!」
 二人の騎士は、戦騎を喚装させた。
 茶色の虎と緑色の亀の戦騎だった。どちらも、己の相手にすら成らない。
「嫌だ、嫌だ……ふふふ。そんなに此の私が、怖いかね……君達?」
 茶虎の騎士が、三叉槍(トライデント)を構えて突進して来た。
 其の推進力と瞬発力は、目を見張る物が在った。並の使い手ならば、余りの速さに其の躯を貫かれていた事だろう。だが其の動きは、余りにも単調で在った。
 ――半歩。
 たったの半歩、躯を翻すだけで昭久は難無く避けていた。
「銅が、瓦落空きだ……ふふふ」
 鎧の隙間を縫う様にして、ナイフで切り刻んだ。
 ……だが。全くと言って、手応えが無かった。
 後方から緑亀の騎士が、レイピアを繰り出していた。其れと同時に、茶虎の騎士が反撃を繰り出す。
 とてもじゃないが、避けれるタイミングでは無い。
「ほう。……凄いじゃないか……ふふふ。凄い、凄い……」
 レイピアが脳を、三叉槍(トライデント)が心臓を、的確に貫いていた。
「何故、死なないッ……?」
「此の……化物めッ!」
 二人共、恐怖のボルテージが格段に上がっていくのが解った。
「嫌だ、嫌だ……ふふふ。其れじゃあ……そろそろ、私も本気で往かせて貰おうかッ!」

さあ、気になる人は見逃さずチェックしてね! この本が素敵な読者さんに恵まれますように。


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