読者さんから寄せられた無茶な相談に、あたしが無理矢理答える新コーナー「みんなの悩み相談室」の時間よ。自分を特別な何者かと勘違いした感じの上から目線でぶった斬るわ。とはいえあたしだっていくら可愛くて優秀とはいえ万能じゃない。間違ったことも言うかもしれない。みんなもいっしょに考えたりツイートしてみたりしてね。答えるのも「みんな」よ。
今日の依頼人は水瀬はるき(@pomharuki)さん。この記事について意見を求められたの。
水瀬さんは、小説の他に漫画やイラストも手掛けていて、むしろそっちの方で認知されてるのかな? それから映像編集もできる人みたいで、自前でブックトレーラーを作ったりもしてるわね。
さて、水瀬さんは今まで3冊の本をKDPで出していて、先日『ダブル・フーダニット』の無料キャンペーンを終えたばかり。

- 作者: 水瀬ハルキ
- 出版社/メーカー: 陽水樹出版
- 発売日: 2015/03/31
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ところが……
カレンダーというツールを使ったにも拘らず、ダウンロード数はちょっと公開できないほどの惨敗に終わりました。
いや、どれくらいを惨敗と言っていいのか分からないので、個人的な雑感ですが。
これじゃ、商品をタダで配って終わっただけです。そ、そんな……そんな事が……;
ダウンロードされている分も、読まれているのかすら怪しい気もします;
うーん、ウチでも告知記事掲載したけど、あんまり力になれなかったみたいね。ごめん、あたしはまだ読めてない。積んでる。周りからツンデレと呼ばれてるだけに。それにあたしの立場上、作品の良し悪しには踏み込みづらいの。
『ダブル・フーダニット』は二編のミステリ作品を収めた本。「フーダニット」は「Who done it?」転じて推理小説を意味する用語。も、もちろん、知ってたわよ。あわててGoogleで検索なんかするわけないでしょ。折よく先日、藤崎ほつまさんが感想をツイートしていたわ。詳細は後続のツイートをたどって読むよいいわよ。藤崎ほつまさんの作品を見る目は確かだとあたしは勝手に思ってる。だから内容的には一定の水準を満たしている前提で考えるわね。こんなに優れた本がなぜ読まれないのか、と。
@Hozma_Fujisaki ミステリ系セルフ作品。『ダブル・フーダニット』のタイトルにふさわしく、いわゆる「誰が犯人か」をテーマにした中編と短編を収録。「MurderCase」は本格ミステリ、「ラストアクト」はちょっとほろ苦い青春モノですね。どちらも楽しめました。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 4月 18
それじゃ、あたしなりに考えた答えを書いていくね。
週末の無料キャンペーンは避けたほうがいいんじゃない?
最初に気になったのが、無料キャンペーンの期間。「ひょっとしたら」と思って調べてみたあたしの予想は的中したわ。
この本の無料キャンペーン期間は4/10(金)〜4/12(日)。金曜の夕方に始まったはずね。あたしの経験上、一番不利な期間を選んじゃってると思う。金曜の夕方以降にブログ書くとね、全然読んでもらえないの。みんな浮かれて遊び歩いてるのよね。ウチみたいなソーシャル頼みのブログは相当戦力ダウンする時間よ。土日もダメ。ネットを見る人が平日よりも少ないし、行動もバラバラだから反応の連鎖も起きにくい。Kindleストアの売上と週末の関係はわからないけど、とにかくソーシャルをあてにしたプロモーションなら週末は避けたほうがいいんじゃないかしら。
表紙に寒色を使いすぎ?
うーんうーん、あと何だろ。
水瀬さんの記事、後半では表紙と売上の関係について書かれているわね。女の子を表紙にすると売れたから女の子の絵の装丁で出すべきか。それとも本の雰囲気を重視すべきか
悩んでる。水瀬さんはイラストも描けるし、今の表紙だってKDP作品の中ではレベルの高いほうだと思うわ。少なくとも電書ちゃんねるよりは高いデザイン力を持っているわね。それでも敢えて意見を言わせて貰うなら、水彩風の水色が多用されている点が気になったわ。
水色のイメージ。寒色。安定。清らかさ。「動」と「静」で言えば「静」。しかも使い方が淡い。大人しく佇んでる感じ。見る人のアクションを引き起こす系統のものではないと思う。
反対にこちらの本はそこそこ売れたみたいね。水瀬さんが考えるとおり、女の子の絵を使ったことは大きな要因だと思うけど、アクセントとして赤や黄色といった暖色を使ってることも少しは関係しているかもよ。

- 作者: 水瀬ハルキ
- 出版社/メーカー: 陽水樹出版
- 発売日: 2014/11/27
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
水色は「水」の字を持つ水瀬さんにとってはアイデンティティかもしれない。あるいは作品の世界を正しく表現した色なのかもしれない。でも、大人しいデザインの表紙を作って、売れ行きも大人しかった。その結果にあなたは満足していない。さあ、どうしようかしらね。もし実験に使える短編でもあるなら「動」を意識したデザインで出して反応を調べてみるのもいいかも。トライ・アンド・エラーって大事よ。いきなり渾身の超大作でブレイクを狙ってる人もいるけど、あたしはオススメしない。人が敗北からしか学べないのなら、小さい負けを積み重ねてから大きく勝つのがいいわ。
コンテキストを作ろう
本は閉じた世界。長い時間を生き延びるための形。検索エンジンもハイパーリンクも本の中まではなかなか入って来れない。少なくとも今のところは。電子書籍はいつでも買える。じゃあ今買うべき必然性って何? 安くなってるから? 誰かが話題にしているから? 本を買って貰うためのコンテキストを本の外側に作らなくちゃいけないわ。
物書きの人の中には、内容さえ良れば評価されると思ってる人もいる。でもそれはコンテキスト作りを出版社が担ってくれていたって側面があるんじゃないから。自分で本を出すなら自分でコンテキストを作らなきゃいけない。そんなときソーシャルネットワークはもっとも利用しやすい手段。水瀬さんはソーシャル・ネットワークを使ったプロモーションに苦手意識があるかもしれないけど、やらないよりはやったほうがずっといいわ。一人でコンテキストを作るのは難しいから。ネットの人気者なんか目指さなくていい。あなたの作品やあなたのことを好きでいてくれる人を大切にしましょう、それだけよ。
今回あなたはあたしに相談して、あたしがそれを記事にした。もしかしたら、これがきっかけであなたの本に興味を持ってくれる人が生まれるかもしれない。あなたとあたしで一つのコンテキストを作ったのよ。覚えておいてね。
みんなはどう思う?
さて、今回の話題にした『ダブル・フーダニット』。もう無料キャンペーンは終わっちゃったけど、これを読んでいるあなたならどうするのか、読みながら考えてみるのもいいんじゃないかしら。よかったらツイートやブログなどで考えを聞かせてね。

- 作者: 水瀬ハルキ
- 出版社/メーカー: 陽水樹出版
- 発売日: 2015/03/31
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
それじゃあ、今回の悩み相談室はこれでおしまい。水瀬さん、相談してくれてありがとう。出版は最初の投資を長い時間をかけてゆっくり回収するモデルが基本、と知り合いの業界人が言ってたわ。あんまり焦らないでね。バイバイ!
追記: 2014/04/23
みんなの反応
いろんな人の考えが聞けてあたしも参考になったわ。良い「問い」はコミュニティを活性化させてくれるわよね。水瀬さんの勇気に拍手。
フーダニットをめぐって
ミステリクラスタに殺されるタイプの発言だ>「「フーダニット」は「Who done it?」転じて推理小説を意味する用語。」 【みんなの悩み相談室】KDPで小説が売れない! 無料キャンペーンも惨敗で悩んでます - 電書ちゃんねるプラス http://t.co/Nll23vvWyb
— ねこbot(吉野茉莉)@藤元杏② (@stalemate) 2015, 4月 22
ハウダニットとかホワイダニットとかしらないの電書ちゃん。
区別しないと殺されるよ https://t.co/4xPxnG2ZWu
— 百田變化@軽量マークアップ作成中 (@momota1029) 2015, 4月 22
電書ちゃん、またやっちゃったな
— 犬子蓮木@Kindle本発売中! (@sleeping_husky) April 22, 2015
電書ちゃんやらかしたな……。
— 百田變化@軽量マークアップ作成中 (@momota1029) 2015, 4月 22
@denshochan フーダニットは犯人当て小説だよ
— 百田變化@軽量マークアップ作成中 (@momota1029) 2015, 4月 22

も、もちろん知ってたわよ。ちょっとあんたたちの理解を試したに決まってるじゃない!
主人公補正全開のあたしが殺されるわけないじゃない!
適当にググって得た情報を継ぎはぎした程度の理解なんて言えるわけないじゃない!
はいはいすみませんでした!あーすみませんでした!